映画『紀子の食卓』 レンタル家族の3つのステージ
データ
2006年公開 R15指定
監督 園子温
ジャンル ホラー・ドラマ
159分
キャスト
島原紀子 ミツコ 吹石一恵 姉 高校2年生 17歳 広報部
島原ユカ ヨーコ 吉高由里子 妹 高校1年生
島原徹三 光石研 父 新聞記者 編集長
島原妙子 宮田早苗 母 専業主婦 趣味絵画
上野駅54 くみこ つぐみ 廃墟ドットコム長期住人
決壊ダム 安藤玉惠 廃墟ドットコム住人
みかん 三津谷葉子 紀子の幼なじみ 風俗店定員
あらすじ
田舎町豊川市に住む平凡な高校生 島原紀子 (吹石一恵 )は、自分の性格を「おっちょこちょい・意地っ張り・へそ曲がり・ただのガキ」と評価、妹 ユカ(吉高由里子)は、姉と違い一見、明るく大人びた性格だが、小説を書くという趣味を持つ。夏のある日 姉紀子は、インターネットで廃墟ドットコムを知り 悩みを打ち明け、住人 上野駅54(つぐみ )に勇気づけられる。東京への大学進学を父 島原徹三 (光石研)に相談するも反対される。 ある日 また、父に進路を相談していると停電となる。真っ暗な中 紀子は東京へ家出をし、翌日 上野駅で上野駅54と会う約束をする。・・・
- 価格: 11255 円
- 楽天で詳細を見る
オッサン的映画批評
3つのステージ
①ユカのステージ
②紀子のステージ
③上野駅54のステージ
先日、鬼才園子温の映画 ヒミズの批評を書きました。(読んでくれている人は少ないと思いますが・・(笑)オッサンの大好きな園子温監督の特集をしようと思い貸しDVDを5本借りてきました。 『紀子の食卓』・「新宿スワン1&2」・「愛のむき出し 上・下」を借りてきました。 次々と書いていこうと思います。
何年か前にTVのロードショーかなにかでこれを見たときのショックを今も覚えています。 その後 レンタルで何度見たことだろうか・・・
始まりの表題「紀子の食卓」から いきなり 島原紀子(吹石一恵) のあか抜けないアップ そして「私はコートの袖口から垂れている糸くずをちぎった。 家出だった!」これでもう引き込まれる。「大きなバックはたった今、旅行から帰ってクタクタなのを表現した。 つ・も・り」 これで完全に釘付けだ。その後 チャプター1紀子 のテロップからあの「みかん」の件りでもう口が開きっぱなしだ。 吹石一恵の一人称の語り口、こんな映画見たことが無かった。まあ途中までしか、この一人称が続かずグダグダになるところも素人っぽくて良い たぶん 紀子(途中からユカ)らが感じている様を描いているのだろう。 ユカと言えば演じる吉高由里子はこの映画がデビューだという 最初のたどたどしい口調の棒読みの台詞が育っていくのを見るのも楽しいと思うのはやはりオッサンがただのエロおやじなのか・・・
ちょうどこの頃インターネットが流行りだし、この 廃墟ドットコムのようなサイトに良く訪問していたのを思い出す。ユーチューブなどの動画が無い時代、文字だけの空間、心を持たない文字だけの世界が逆にその文字だけでつながる関係が何故か強くなるのは本当に不思議だ。 オッサンも何時間もそういうサイトをうろついていたのを思い出す。紀子はそこで上野駅54 (つぐみ)と出会う 54という数字・54と言えば 新宿での女子高生集団自殺の人数だ。すぐネタバレする数字だ。この紀子の食卓が自殺サークルの謎ときだと良く評されるが、続編っぽいのは認めるがそうだとは思えない ただの後付けに感じる。 紀子の食卓は自殺サークルが無くとも引き込まれる。
さて今回オッサンが言いたいのはレンタル家族でのステージについてだ。
①ユカのステージ
ユカ(吉高由里子)はこのレンタル家族に入社してからまだ日も浅い まだまだ初心者だ。 姉紀子と会った時にすぐ「おねえちゃん」と駆け寄って行ってしまう。 更にあのコートを着てくれと懇願し「懐かしい」と感情を出してしまう レンタル家族は自分の感情を表に出してはいけない 役としての感情は父、徹三 (光石研)がクローゼットの中に隠れて言うように白々しいくらい出しても良いのだが自分のはダメだ。経験がまだ足りないのだろうか?
②紀子のステージ
紀子は既にレンタル家族に入社してから1年以上経っている。まだ ベテランという域まではいかないが、不良少女の役の頃はミツコに成りきっているがビジネスに徹してはいなかったがユカに会っても感情を出すことはない ステージで言えばおばあさんを訪問する冒頭の家族くらいのステージに成っている。 弟らしい弟、父らしい父 このステージに成るには経験と時間だけで慣れるのではないだろうか?
残念なのは父徹三と会うシーンでミツコいや紀子を通り越して一瞬、吹石一恵に成ってしまっている。
③上野駅54のステージ
上野駅54のステージに成るのは経験と時間だけでは足りない、それは”覚悟”だ。
決壊ダム ( 安藤玉惠)が殺されるのを冷静に見ていられる。自殺サークルの大量自殺を目の当たりにしても目を背けることはしない。もう 役に成りきっている。ラストの徹三との夫婦役も年齢を感じさせる事なく難なくこなしている。まさにプロだ。レンタル家族のプロ! 「私は私の関係者」として演じ切っている。
しかしオッサンは知っている。 この③上野駅54のステージよりの上のステージがあるのを!
それは、ひと騒動会って全員が寝ている最中、ユカ役のヨウコは6時に起き 何にもない役に成って家を出てくしゃみをする。 妻妙子役のくみこが目を開ける。 姉紀子役のミツコは、2度瞬きを行ってしまう 3人とも寝ていない。 しかし、その中で一人だけ寝ている芝居を続けている、父徹三の演技が素晴らしい 役に成りきっている。
徹三は徹三の関係者に成っている。
最後まで読んでいただきありがとうございます。 拙い文章ですが、一所懸命書きました。
もし 人名などの誤字脱字ありましたら指摘してください。(すいません。)
もし、宜しければ コメント・読者登録・応援のブログ村クリックをお願いします。 励みに成ります!
では、本当にありがとうございました。
にほんブログ村 応援のクリックお願いします!