オッサン的 批評

定年へのカウントダウンが始まりました。趣味を見つけようとブログを始めました。

映画『恋の罪』に見る 二面性の或る三人の女優

恋の罪
データ
2011年公開 R18指定
監督・脚本 園子温
上映時間 144分

キャッチコピー 「ようこそ、愛の地獄へ」
キャスト
吉田和子  水野美紀       刑事
菊池いずみ    神楽坂恵      小説家の妻 ヨウコ
尾沢美津子    富樫真          東都大学教授 魔女っ子クラブ在籍
ショウジ        児島一哉   和子の愛人
菊池由紀夫 津田寛治       小説家  
カオル           小林竜樹       魔女っ子クラブマネージャー
尾沢志津       大方緋沙子 美津子の母
あらすじ
渋谷丸山町ラブホテル街、廃墟のアパート猟奇殺人事件が起きる。女性の遺体は二つに分かれ、二つともマネキンに接合されている。一方は赤いドレスのマネキンともう一方は、セーラー服。 その遺体とマネキンの接合部分には蛆が沸いている
現場に急行した吉田和子刑事水野美紀)   は、そのアパートの壁に血で書かれた『城』という字を見つける。 菊池いずみ    (神楽坂恵)は人気小説家菊池由紀夫 (津田寛治)  の若奥様。厳格で神経質な夫との平穏で平凡な毎日に何か物足りなさを感じている。 それを解消しようといずみは、スーパーの試食販売で勤め始める。 ある日いずみは、モデルの仕事を依頼される。 しかし、モデルの仕事は表向きでアダルトビデオの仕事だった。

オッサン的映画批評
映画『恋の罪』 二面性を持った三人の女たち
①菊池いずみ    神楽坂恵 小説家の奥様の場合
吉田和子  水野美紀  女刑事の場合
③尾沢美津子    富樫真  東都大学女教授の場合


この映画は1997年に起こった、『東電OL殺人事件』を元にしたもので有名。 『東電OL殺人事件』とは、東京電力幹部社員の女性が渋谷区円山町の廃墟のようなアパートで殺害される。女性は慶應義塾大学を卒業、東電の幹部と高学歴でエリート、独身で実家も裕福 しかし、女性はその廃墟で体を売っていた。昼はOL、夜は売女という二面性を持っていたことで話題を呼ぶ。 当初、女の客で合った不法滞在のネパール人が容疑者後に無罪たなる。精子のDNA鑑定などでマスコミの好きそうなネタでその頃はかなり騒がれていました。
このOLの二面性が特に話題でオッサンもよく休憩中などに同僚と「女は怖い」とか話していたのを思い出します。
サテ今回のオッサン的映画批評はこの怖い??女の二面性をもつ3人の登場人物です。

①菊池いずみ    神楽坂恵 小説家の奥様の場合
この映画 主演は水野美紀と成っていますが、オッサン的には 神楽坂恵だと思っています。 神楽坂恵の演じる菊池いずみ はあらすじの通り 几帳面な小説家の妻という役どころで最初はちょっと暗い雰囲気の女性です。アルバイト先の極太ウィンナーの試食販売でもスーパーの店長からもっと明るく、声を出して!と叱咤されています。 しかし、AVに出演し、カメラマンなどからキレイ、カワイイとチヤホヤされたり、男優とSEXし夫との性生活の不満が解消されたこと?により「今日は明るくていいね!色気もある。」と店長から絶賛されます。夫からも本当に健康的で明るくなったと褒められます。 鏡の前で全裸で「ウィンナーの試食いかがですか?」と大きな声を出しポーズを変え練習するシーン(わざと長いシーン)は健康的な肉体で巨乳を揺らす様が笑えます。やがて売春を行うようになり益々、活発な女性へと変わって行きます。 前半の菊池いずみ二面性主婦から脱皮し夫以外の男を覚え、活発な女性と成っていく! (後半は後から)

 

吉田和子  水野美紀  女刑事の場合
主演 水野美紀吉田という刑事で男のデカに「先輩」と呼ばれ尊敬されているところを見ると駆け出しでは無く、かなりの経験を持つ女刑事なんでしょうか? プライベートでは夫と一女に恵まれ幸せな家庭を持っています。 そんな彼女の二面性は時折かかって来る電話の主、ショウジ  (児島一哉)との愛人関係です。しかもショウジからは「寝ている旦那の横の机の上でSEXした。」「俺が欲しくて仕方ないんだろ!」とか挙句の果てには、「そこでオナニーして見ろ」などと言われ オナニーを始めるなどかなりな二面性を持っています!『児島うらやまし~~!」オッサンの叫びww
ラストのシーンではごみ回収車を追いかけ、いつのまにか、あの廃墟へと向かってしまいます。 吉田がこの後どうなってしまうのか? 考察してしまいます。(最後の台詞 もっとひねって欲しかった。 『楽園?』などと首を傾げた方が面白い??)
また、路上で衝動的に自殺する女を救おうとするシーンでは夫に浮気を悟られたくないという女の携帯を折って破壊、その後、吉田自身とその女を重ね合わせたり、廃墟で赤いスリップドレスの女に首を絞められるシーンは後悔念を駆られる女の姿を感じます。 できれば首を絞めてる女と絞められてる女、両方の顔を水野美紀にした方がわかりやすくて良かったかな?と思います。 

 

③尾沢美津子    富樫真  東都大学女教授の場合
園子温監督と言えば、又登場しましたミツコ! トラウマがあるのでしょうかね(笑)
東都大学東電を掛けている点や赤いドレスでしかも少額で寝る売春婦、冒頭の死体の正体は? 彼女かなと即、思ってしまいますが、そこは園子温監督ラストまできっちり引っ張ってくれます。そんな尾沢美津子 (富樫真)の二面性は、昼間は名門東都大学女教授。 特に田村隆一の詩『帰途』朗読シーンはさすが、蜷川幸雄の元で主役を張った経験を見せつけてくれます。圧巻の朗読です。この詩 初めて聞くオッサンも身を乗り出しました。後に「言葉では学ぶことは出来ない」「言葉には意味がある」「意味は身体」と言われ、衝撃でした。本当に身につまされました。 居酒屋でもう一方の顔、赤いドレスの売春婦に変わるシーンは見ごたえがあります。 赤い女に変わると身のこなしも目つき、声までも別人です。 鏡の前で「シンスケはどうした。」「シンスケは死んだ。」「それはしょうがない 」とノローグを吐くシーンも見ものです。更に圧巻なのは、母尾沢志津 (大方緋沙子)との対峙シーン 母の顔を見て震えるさま(ちょっとわざとらしいです・・・)や虐待(?)を思わせる素振りは素晴らしい! 受ける大方緋沙子の語り口調も名脇役としての経験の技が光っています!

クライマックス、小説家の夫菊池由紀夫を寝取り、いずみと対峙するシーンでも彼女のもう一つの二面性が湧き出ています。 大好きなをせがんでいる演技は絶望を覚えます。 父の死因まで疑ってしまいます。 そして いずみとの首の締めあい・・これも二人の二面性でしょうか? 後悔の女? 心を捨てた女? 捨てたい女
しかし この映画の最強の女の二面性はいずみの最後に魅せる二面性だと思います。
全くSEXに感じない女に成り、浜辺でガキ小便を見せ、1000円で客にやらせ、下劣に下品にそして気高く落ちていき『帰途』を朗読する女でしょうか?


男なら殺人に加担し、妻を蔑む小説家? 吉田の浮気を知っている夫の二面性も気に成ります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
拙い文章ですが、一所懸命書きました。
もし 人名などの誤字脱字ありましたら指摘してください。(すいません。)
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では、本当にありがとうございました。
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