映画 ”スパイの妻” 「お見事です。」

映画“スパイの妻”観賞ブログ
①”スパイの妻”DATA
公開２０２０年
監督　黒沢清
上映時間 　１１４分
ジャンル 　戦争映画？ラブロマンス？？
ヴェネチア国際映画祭　銀獅子賞

⓶キャスト
福原聡子　　蒼井雄　　　福原優介 の妻
福原優作　　高橋一生　　神戸の貿易会社社長　舶来品好き　自作映画が趣味
坂東龍汰　　竹下文雄　　福原の甥　福原貿易の社員
駒子　　　　恒松裕里　　福原家に勤める女中
金子　　　　みのすけ　　福原家　執事
草壁弘子　　玄理　　　　満州にいた謎の女
津森泰治　　東出昌大　　聡子の幼馴染　軍隊長
野崎医師　　笹野高史　　最高で最後の協力者

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③あらすじ
１９４０年太平洋戦争を開戦前、神戸で貿易会社を営む福原優作（高橋一生）とその妻、福原聡子（蒼井雄）は世間が戦争の準備で生活に不自由を来たす中、二人は何不自由なく暮らしていた。　

優作は妻を自作映画に出演させそれを忘年会で披露する為、甥で社員の坂東龍汰（竹下文雄）と満州に行く
彼らは満州で見てはいけないもの（軍事機密）を見てしまう
優作はその軍事機密を白日の下にさらすために決意を固める。

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オッサン的映画批評
お見事な映画だった！！　
お見事です！
黒沢清監督の光と影のコントラスト！
難しい時代、難しい問題を左・右どちらからも批判させないような戦争解釈！
そして、なんと言っても蒼井優の演技！！
お見事です。

オッサンはこの映画を最高のロマンス映画だと思う！
確かに時代は太平洋戦争に向かい暗くなっていく時代
映画の始まりも福原貿易と取引のあるイギリス人がスパイの罪で捕まるシーンから始まる。
捕まえたのはもちろん　日本軍！　憲兵！！
その知らせを福原優作（高橋一生）に告げに来たのは、妻の福原聡子（蒼井優）の幼馴染で軍隊長の津森泰治（東出昌大）！
優作は津森の事は知っており家に遊びに来いと誘うがここで一つ目のラブロマンス！
ラブロマンスにありがちな恋敵の登場である。
優作は『妻』に会いに来いと言い
津森は『聡子さん』はお元気ですか？と聞く
恋敵登場！
呼び方一つで違和感を誘い出す。
津森は、優作に言動を注意するように言うがその心は聡子を守りたいということだ。

その聡子の初登場は優作の自作映画の中、
古めかしい上品な言葉、上品な抑揚で『私の性だとおっしゃるの？』
もうこれだけで蒼井優の演技に見入ってしまいます。
これが戦争映画なんて言えない！

聡子の恋の相手はもちろん夫の優作
彼は社長で裕福、舶来好き！　
この戦争前の暗い時代の中、独りだけ「大正ロマン」に生きている。
スーツ姿は最高で聡子にも和服では無く洋服を勧めている。
自分の趣味・生き方を妻にも押し付ける。
趣味の自作映画の中、
聡子は厭々ながらも優作の望む演技を繰り返す。
自作映画の9.5ミリフィルムの中の表情も素晴らしい

その後、優作は映画を撮るため　甥の龍汰と二人で満州に行く
普通の映画ならここで満州と言う国について説明するのだが、
この映画は何も触れない
ただ一言”王道楽土”とだけ
一般的説明だと　満州は中国の北西部に日本が作った傀儡国家
しかし　本当は朝鮮半島を併合した日本の絶対防衛ライン
北の強敵　ソ連（ロシア）から日本を守るために築いた国だ。
面積は日本の約３倍　人口は約４千万人　
五族協和の名のもとに日本人、朝鮮人、モンゴル人、満州人、漢人らが暮らしていた。
もちろん　支配階級は日本人だが欧米のような植民地ではない。
広東軍に守られ、首都は新京　統治者はあのラストエンペラー　皇帝溥儀
ちなみに”王道楽土”とは、『公平で思いやりのある　平和で楽しい所』という理念です。
こんな風に触れたら間違いなく、批判にさらされるだろう・・・

二人は満州で国家機密を目にする。　
映画では広東軍の研究として語られているが、
実際は”７３１部隊（石井部隊）”正式名称は”広東軍防疫給水部”
表向きは感染症の予防を研究する部隊です。
どこまで真実か？は、不明ですが生物兵器を研究し人体実験まで行っていた。
後に日本降伏後は証拠隠滅の為、施設まで焼き払った。
その研究結果はソ連に知られぬよう　アメリカが持ち去ったとされている。
この為　東京裁判では何も語られなかった・・・

この研究？　悲劇を目の当たりにした優作と龍汰は、これをアメリカに発表しようと
生き証人にとして草壁弘子（玄理）を満州から連れ帰るのだが、
何も知らない聡子は夫が女を連れて来たとジェラシーを燃やす。
やっぱりラブロマンスだ！！
その事実を聡子に話すのは、あの恋敵、津森軍隊長！

優介に真実を問いただすのだが、優作は正義の為・自分はコスモポリタンだと突き放す！　
ちなみにコスモポリタンとは世界主義者
この当時の日本人は日本の為、天皇陛下に忠誠を誓うのが普通の考えだ。

そんなことは聡子が信じるハズも無く
更にジェラシーの炎は燃え上がる！！

ついには、その秘密を探るため会社の倉庫へと忍び込む！
見上げた根性だ！
そこで目にしたものは、１本のフィルム
早速、聡子はそれを見るのだが・・・

普通なら真実を理解し優作と一緒に歩もうとするのだろうが、
聡子は一計を考える。　
その一計とは・・・

見た内容をなんと恋敵、津森に打ち明けに出かける。
ここで聡子は初の和服姿で登場！
着物姿も実に良い！　色気が後ろ姿からにじみ出る！
うなじが最高！！

作戦は功を奏し、龍汰は憲兵に捕まり拷問！
自分の甥を売ってまで夫を守る。
恐ろしいばかりの熱愛！
優作はこの真実を知り聡子を罵るも聡子には全く通じない！
当り前だ！
聡子は愛の為だけなのだ。　
後は何も考えていない！！
オッサンもこれぐらい好かれてみたいものだｗ

聡子はこれで自分しか優作の協力者に成れるものはいないと考え
一緒にこの秘密を分かち合い　
優作と同じ方向を向ける幸せに浸る。
優作には　『もう私しかいない』そう断言する。
優作はついに観念し聡子と一緒にアメリカへ渡る決心を固める。
ついに聡子の夢はかなった。
甥を売り渡し、幼馴染の憲兵を利用し、優作を出し抜き！
愛を貫く！！
「お見事です！！」

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二人は同じ方向を志、愛の炎は燃え上がる！！
聡子の夢は遂にかなったのだ。
歴史が戦争へと急展開する中
夢のようなドライブに出かけ、
結婚記念日を祝うためにアクセサリーをプレゼントされる。
聡子の眼は真珠のように輝く！！

しかし　これで終わるのなら・・・これが結末なら
オッサンはこんなに褒めはしない！
ここから先がほんとうに
『お見事！！』

最後まで読んでいただきありがとうございます。
拙い文章ですが、一所懸命書きました。
もし　人名などの誤字脱字ありましたら指摘してください。（すいません。）
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